周りと差別化できる!大学院の第一種奨学金返還免除に必要な業績とは

奨学金

こんにちはトウリです。

大学院在籍時の第一種奨学金には返還免除という制度があることはご存知ですか?

これは貸与を受けている学生のうち、特に優れた業績を残した学生に貸与額の半額もしくは全額の返還を免除するという制度です。

私は日本学生支援機構(以下、機構)の第一種奨学金の半額免除者として2021年に採用された経験をもとにまとめました。

ではそこに至るまでの過程について解説していきます💡

奨学金返還免除制度ってなに?

概要

知らない方もいることを踏まえて、まずはどんな制度であるかをさらっとおさらいしていきます。

返還免除制度…大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生であって、貸与期間中に特に優れた業績を挙げた者として日本学生支援機構が認定した人を対象に、その奨学金の全額または半額を返還免除する制度

学問分野での顕著な成果や発明・発見や、専攻分野に関する芸術・スポーツ、ボランティア活動等におけるめざましい活動または高い評価等を含めて総合的に評価し、学生の学修へのインセンティブ向上を目的としている。

独立行政法人日本学生支援機構ー特に優れた業績による返還免除
奨学生くん

成績が良い人っていうのは分かったけど、東大の人とかと成績で勝負しないといけないの?

そこは安心して大丈夫です!なぜならこの制度の申請方法は次のようなプロセスだからです。

貸与終了時に大学に申請し、大学長から推薦された人を対象として、本機構の業績優秀者奨学金返還免除認定委員会の審議を経て決定されます。

独立行政法人日本学生支援機構ー特に優れた業績による返還免除

つまり大学内での貸与奨学生のうちで業績が優れている候補者として選ばれることで一つ目の関門を突破できます。

奨学生くん

それ以上に関門があるの?

次に機構側での審議を経て返還免除者として決定されるかが最後の関門です。

ではどの程度の貸与奨学生が返還免除者になっているかみていきましょう!

どれだけの採択率か

機構HPの2021年3月の貸与終了者の内訳を参照して、これらの関門の突破率を見ていきます。

返還免除者の割合=30%
(貸与終了者数20412名のうち返還免除者数6102名)

ここで大学からの推薦者数を見ると6122名であることから、大学側で業績が評価されることが最大の関門であることがわかります。

では返還免除者のうちで全額免除者の割合は次の通りです。

全額免除者の割合=23%
(返還免除者数6102名のうち全額免除者1374名)

ここまでのおおよその内訳で考えると大学での貸与奨学生のうち、

上位30%が半額免除者上位7.5%が全額免除者

として採用されることがわかります。

奨学生くん

やっぱり全額免除って高い壁なんだね、、

返還免除に必要な業績

返還免除に必要な業績のうち私が周りの状況を見たり聞いたりした内容で、差がつく業績と差があまりつかないだろうという業績で分類してみました。

奨学生くん

これでグッと対策しやすくなりそうだ!

差がつく業績

こちらがその一覧です。それぞれ細かく解説していきます。

差がつく業績
  • 投稿論文
  • 学会
  • 受賞歴
  • 専攻に関わるボランティア

投稿論文

投稿論文を執筆すると、他の取り組みにはないほどの手間と時間がかかる作業となります。

また英語で書かれた論文では加点対象となる項目がありました。

そのため大学にもよりますが、私の周りでは業績を報告する期間(修士2年の年末年始)までにアクセプトまでされる人はそう多くはいないといった感じでした。

それを踏まえると、学術誌のレベルは修士過程ではほとんど関係なく、他の学生よりも投稿論文を多く書けるかが差がつくポイントになってくるといえます。

こちらでは投稿論文のアクセプトまでのプロセスについて解説しています💡

学会

学会の参加数についても研究室の方針などによっても様々でした。

最近はオンライン開催での学会が増えているので、交通費等のお金の問題を考えると以前よりも参加しやすくなっているかもしれません。

参加した全ての学会での業績が認められるかについての情報はありませんが、仮に同じ業績ならば参加数が多い方を上位にすることが大いに考えられます。

投稿論文と同様に、他専攻の学生とも業績を比較する必要があるため学会の規模はほとんど関係がないと思います。

国際学会や英語での発表について加点される項目があります。

この加点項目を踏まえて、私が経験した学会では日本の組織が主催している国際学会などは比較的参加しやすい印象でした。

こちらでは学会発表に向けていつ頃なにをやるべきかについてまとめています。

学会などでの受賞歴

これまで紹介してきた内容で最も差がつく部分ではないかと思います。

ここでは受賞したかどうかが評価されるポイントであり、規模は関係ないといっていいでしょう。もちろん主催している団体が信頼のおけるものである必要はあります。

業績を重視して参加する学会を選べるならば、規模が比較的小さい学会が狙い目になります。

こちらは研究室へのモチベーション別に研究室のおすすめの選び方をまとめています。これから研究室を選べる立場にある方は、参考にしてみてください。

専攻に関わるボランティア

この項目は線引きが曖昧で評価されていたのかわからない部分が多いですが、他の候補者も同じように感じていた部分だと思います。

私は業績として証明できるエビデンスがあって給与が発生していない活動をかき集めました。

例えば、、
  • 新入生に向けて留学経験を話すこと
    (今考えると給与があった気もしなくもない、、笑)

差があまりつかない業績

差があまりつかない業績
  • 授業の成績
  • TAの実績
  • 学部生の研究指導

授業の成績

大学院の授業は主に期末テストがなく、レポートなどの提出物で評価が決まります。

そのためそれなりの内容で提出物さえ出すことができていれば、悪い評価にはあまりなりません。

また評価が8割以上でA、7割以上でBといったような評価方式に学部時代から変わっていました。

そのため9割以上の高みを目指さなくても良いため、あまり学生同士で差がつくことは少ないです。

学部時代の授業との違いとして、修士での授業は研究をうまく進めていくためにあるような立ち位置なのかと感じるほどの温度差がありました。

TAの実績

TAとはティーチング・アシスタントを意味し、学部生の授業の補助などをするアルバイトのことです。

修士の学生が少なかったりすると、修士課程にいる間に何回もTAをやることがあるかと思います。

業績になるかという観点では、一回TAをすればそれ以降はカウントされません

そのため大学にいるときに稼ぎたい人以外は、拘束時間が少ないTAが良いのかもしれません。

学部生の研究指導

修士課程の学生は、卒業研究をする4年生に実験の仕方や卒業論文の書き方などを指導する慣習があるかと思います。

それについても業績としてカウントされますが、いくらやっても一つ分の業績になってしまいます。

業績として評価されるのは、卒業論文の謝辞に自分の名前があって指導したことがわかる内容とその論文がきちんとしたものかがわかる表紙などが必要になります。

返還免除決定までのスケジュール

返還免除までのスケジュールは次のように進んでいきます。

返還免除までのスケジュール
  1. 大学への業績報告書類の提出(修士2年の1月頃)
  2. 大学内での推薦者決定(修士2年の3月)
  3. 機構からの免除決定通知(修了後の6月)

大学への業績報告書類の提出 (修士2年の1月頃)

どんな業績を上げたのかを報告するのに細かい指示がある書類を作成する必要があります。これには業績としての証拠も併せて提出する必要があります。

この証拠集めに時間がかかる場合があるので、参加した学会の予稿や発表資料、論文情報などをあらかじめまとめておくといいかもしれません。

提出時期の修士2年の1月ごろには修論を仕上げている途中の人も多いと思うので、時間が空いた時に早めに準備しておきましょう!

大学内での推薦者決定(修士2年の3月)

大学内での推薦者決定が修了前の3月に大学の掲示板などで発表されます。

私の大学のようにコロナ禍でこの発表がなされない場合もありますので、詳しくはご自身の大学の案内を確認ください。

この発表がされるまではドキドキですね。。

機構からの免除決定通知(修了後の6月)

機構から修了後の6月に決定通知が発行され、私の場合は7月の終わりごろに届きました。

通知が発行されて手元に届くまでには少し時間がかかるのだと思います。これでようやく正式な結果がわかりますね!

業績を残すのに自信がない人へ

touri.blog

心配しているように研究にたくさん時間をかけても返還免除者になれないかもしれません。

しかし返還免除者になれる可能性があれば、頑張ってみる価値は大いにあると自信を持って言えます。

その理由は次のように多くのメリットが得られるからです。

返還免除で得られるもの
  • 返還免除による金銭的なメリット
  • 業績を積み上げる過程で得られた知識や課題への取り組み方
  • 業績を積み上げたことで得られる自信・自己肯定感

もし返還免除者に選ばれなくても上記の金銭的なメリットが受けられないだけです。

奨学生くん

でもお金欲しいし、その時間で遊びたかったとか思わないかな?

もちろん勉強だけでなく、遊びや勉強以外から得られる経験も大事です。

ですがお金が欲しい人には、あなた自身が頑張って得られた知識や経験があなたを将来大きく稼がせてくれる種になってくれると伝えたいのです。

もちろんすぐ近くにあった100〜200万円に目がいってしまうのも無理ありません。

しかし本来あまり頑張らなかったであろう自分と返還免除に向けて頑張った自分を比べると、後者の方がより社会人になる前の素晴らしい経験ができていると思いませんか?

返還免除になれなかった自分と他の人を比べるのではなく、それなりにやった時の自分と返還免除に向けて頑張った自分を比べてみてください。

大きな目標が負担に感じて挫折してしまうかもという人はこちらも参考にしてください。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

この記事では奨学金返還免除への流れについて、差がつきやすい業績と併せて解説しました。

最後に内容を振り返ってみましょう!

差がつく業績差がつかない業績
・投稿論文
・学会
・学会などの受賞歴
・専攻に関するボランティア
・授業の成績
・TAの実績
・学部生の研究指導

いかに差がつかない業績でポイントを逃さずに、差がつく業績を積み上げられるかが返還免除への近道です。

また自分で業績を判断せずに、可能性のある業績は全報告しましょう!大学や機構側に業績と判断してもらえれば儲けものです。

しかし返還免除の金銭的なメリットだけでなく、その過程で得られる経験についても必ずあなたを成長させてくれています。

途中に他の人の業績が気になったり、自分の研究がうまくいかずに辛い時もあるかもしれませんが、修士課程の間はよく頑張ったなとか良い学生生活だったなと思える期間になれば最高ですね!

奨学生くん

何回もない学生生活だし、頑張ってみるよ!ありがとうございました🙇‍♂️

貸与奨学金の種類について説明しています。

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