投稿論文がアクセプトされるまで

研究

大学院での大きな業績の一つとして投稿論文があります。

はじめての場合は私も同様にどのような流れで進んでいくのかや、在籍期間中にアクセプトまでされるかな、、といったことがわからないかと思います。アクセプトとは論文誌に採用されることを表しています。

そこで筆頭著者として1つの論文がアクセプトされた私の経験をもとに、大まかにどのような流れなのかをお伝えしたいと思います。

マナブくん
マナブくん

よろしくお願いします!

草案作成

まずは論文のもととなる案をつくっていく流れについて説明していきます。おおまかな流れはこちらの通りです。

  1. データのまとめ
    1. 有効数字の意識
    2. 書式ばっちりなグラフを一つ作る
  2. 日本語版作成
    1. 取り掛かる手順
  3. 英語版作成
    1. 取り掛かる手順
    2. 英文校正

データのまとめ

ここでは論文を作成するためにデータをまとめるというよりは、普段の活動で行っていることかと思います。

マナブくん
マナブくん

もちろんこれならすでにやってるよ!

その普段のデータ整理の中で抑えておくと後で楽になるポイントが2つあります。

  1. 有効数字の意識
  2. 書式ばっちりなグラフをひとつ作る

有効数字の意識

最初は有効数字に対して、なかなか意識が向かない部分であるかと思います。

比較的わかりやすい計測器などの仕様を見てわかる値や、測定データについてはすぐに対応できるようになるでしょう。(例えば、Aという計測器で検出できるのは0.1のオーダーまで)

しかし私の場合は、測定データを使って計算によって算出した値については、修士1年次の学会予稿準備に至るまで意識が持てませんでした。

そのため、予稿などにグラフを貼りつける→有効数字の検討→再度貼りつけ
などといった作業をよく繰り返していました。(学会参加後の論文案作成時にもやっていました、、)

Excelで数値を指定した桁数で四捨五入させる関数の紹介

=round(数値orセル, 桁数)

予稿について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

最初に書式ばっちりなグラフを作成

ほとんどの方がグラフを発表や論文で使うのではないでしょうか。その時に細かい調整や新たなグラフを一から書式等を変更するのは手間になってくると思います。

そこでまず発表などで使うグラフを作るときに、一つ書式をしっかり作りこんだものを作ります。これは同じ分野の論文などを参考にするのが良いでしょう。次のグラフを作成するときには、はじめに作りこんだグラフをコピーして数値の部分を変えた方が確実に早くかつ書式変更の見落としがなくスマートに作業できるかと思います。

マナブくん
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これなら何回も同じ作業をしなくて済みそうだ!

日本語版

論文作成に取り掛かる際には、指導教員とその内容がアクセプトされるかの見込みがあるかについて、よく議論するのが最初のステップです。指導教員は論文投稿に対しての経験が豊富なため、指導教員のGOサインがあればチャンスは大いにあるでしょう。

取り掛かる手順

マナブくん
マナブくん

何から手をつけたらいいの?

草案作成時の流れについて、以下のような一覧が私の場合の進め方でした。

  1. 論文の各題目を決め、ストーリー構成をイメージ
  2. 書きやすい実験の方法や結果から書き始める
  3. 各題目を細かく書くより、まずは全体の完成度を上げる
  4. 3の最後にイントロダクションや記号等を作成する
  5. 細かい部分の作成を行う
  6. 5で適宜内容をチェックしてもらいながら、完成度を上げる
    (アブストラクトを仕上げる)

まずは論文のストーリーをイメージすることから始めてみてください。これはイントロダクションからはじまってまとめで終わる各題目のことです。同じ学問分野でも理論系や実験系によっても構成が変わってくることがあるため、その部分についてもチェックしてみてください。

次に書きやすいと感じる部分から書いてみることです。具体的には私の場合、実験方法についてや結果についてから書き始めました。おそらく論文作成に取り組み始めたころには、ある程度の結果が出てきているころかと推測されるため、みなさんもこのあたりから書き始めることをおすすめします。

このときはじめからしっかり作りこんでいくのも良いですが、その後に何回も本文を修正したりすることも考えられるため、細かく書くことに時間をかけすぎずにまずは全体の完成度を上げていきましょう。最後にイントロダクションや使用した文字や記号を書いてアバウトな草案は完成です。

私が経験した中で改善した方がよかったなと感じた点は、この草案時に参考文献を書式通り番号で管理していたことです。文献を追加したときに番号が変わることが多く、修正に時間をかけていました。そこで文献番号の部分を著者の名前などで管理しておくと、追加・削除が容易で、最後に番号を付ける方が間違える可能性が低くなるのではと思います。

私の場合はこのあたりでポスドクの方に、大きく間違っていないかなどのチェックをしてもらいながら徐々に細かい作りこみを進めていきました。

草案の細かい部分の作成や見直し等もある程度進んだら、指導教員に見てもらい修正の提案などをしてもらいながら完成度を上げていきます。アブストラクトは内容が固まったあたりで書くと修正が少なくていいかもしれないです。

日本語の論文として投稿する場合は、次に査読対応に進んでいきます。

英語版

英語で書かれた論文の場合は、日本だけでなく世界の人が読むことができるため、多くの人に成果を発信することができます。また業績としても日本語の論文と比較して、英語論文の方により加点されます。

英語論文を作成する過程で大変な部分もありましたが、英語での表現方法等でも勉強になりました。修士の学生全員が在学中に英語論文を投稿できるわけではないため、高い業績を狙う人にはぜひアクセプトまで進んでほしいと思います。

取り掛かる手順

マナブくん
マナブくん

英語が苦手なんだけど、それでもできるかな?

まずは日本語の草案の文の長さに応じて1~2文程度、機械翻訳(Google翻訳がおすすめ)を通して英語に翻訳します。もっと多くの文を翻訳しても良いのですが、日本語と英語の照らし合わせがうまくいかないこともあるため、この程度の分量が良いかと思います。しかし当時と比較して精度が向上している可能性もありますので、適宜ご自身で調整してみてください。

この時、特に技術的な単語や長い文の言い回しの場合はうまく翻訳されないため、注意が必要です。そのため日本語→英語の翻訳の後に、言語を切り替える部分を押して機械翻訳の英語→日本語で再翻訳して適切な意味になっているかのチェックが必要です。単語の確認であればネット上の辞書で調べるのが良いでしょう。

それを繰り返して英語版の草案が完成したら指導教員に内容を見てもらい、草案の完成に向けて進んでいきます。

英文校正

ここまで作成した論文をネイティブな英語や学術的な英語に精通している会社に、校正を依頼してさらに完成度を高めるステップです。会社によって英文の校正を行う基本的なサービスから内容面まで精査してくれるサービスがあり、それぞれ値段が異なります。

私の場合は基本的な英文校正を指導教員を介して依頼してもらいました。もちろん費用は研究室(大学)側で出してもらえます。およそ2週間ほどかけて校正をしてもらいました。

マナブくん
マナブくん

ちゃんとした英語になったらもう安心だね!

しかしここで注意したいのが、校正をしてもらった論文の内容が大きく変わっていないかという点です。ネイティブな英語表現にしてもらっても、伝えたい内容が伝わらないのでは本末転倒ですからね。

また好みの問題かもしれませんが、校正者がイギリス英語だったりすると見慣れないつづりだったりする場合があります。そのあたりもチェックポイントになるかもしれません。

査読

ここで最後にして最大の難関でもある査読対応です。基本的にやりとりはメールで指導教員が対応すると思います。私の場合は論文を投稿してから2か月たたないうちに査読結果が来ました。これは論文誌等によっても異なるかもしれません。

査読結果には査読者のコメントがあります。内容としては、軽い検討や修正事項の提案や検討に時間を有するような考察の提案がされることがあります。これにきちんと答えられるようであれば、アクセプトされる確率が高まります。私の場合、コメントへの回答期限は2週間でした。

コメントによっては過去の類似の研究を参照して、考察に厚みを持たせた方がよいといったような内容があります。これまでたくさんリサーチするようにしてきた過去の論文をうまく使うことができ、これにはなんとか対応することができました。

しかしコメントへの対応が難しかったり、追加の実験や調査の検討が必要だと判断される場合には、リジェクトといって論文が採択されないこともあります。

査読者のコメントに対する回答をしたおよそ1か月後にアクセプトがなされました。

まとめ

いかがでしたか?

この記事では論文投稿までの流れについて解説しました。

最後にここまでのおさらいをしていきましょう!

  1. データのまとめ
    1. 有効数字の意識
    2. 書式ばっちりなグラフを一つ作る
  2. 日本語版作成
    1. 取り掛かる手順
      1. 書きやすい部分から
      2. 最後にアブストラクト
  3. 英語版作成
    1. 取り掛かる手順
      1. 機械翻訳(日本語→英語)
      2. 機械翻訳(英語→日本語)
    2. 英文校正の内容チェック
  4. 査読対応
  5. アクセプト
マナブくん
マナブくん

論文がアクセプトされるまでの流れがわかったよ。まずは研究頑張らないと!

共通して言えることは過去の論文をうまく参考にすることと、指導教員との連携をうまくとることかと思います。過去の論文はすでにアクセプトされたものなので、構成や考察の観点をうまく取り入れられればご自身の論文の完成度は高くなっていくでしょう。

また指導教員はあなただけを見ているわけではないので、内容をチェックしてもらっている間に他の作業をするなどの時間の工夫があると早く論文が完成するかもしれません。

これらの情報を参考にして、ぜひ論文がアクセプトされるように頑張ってください!

投稿論文の流れについてはわかったけど、その合間にうまくアルバイトで稼ぎたい!と考えている人は以下の記事を参考にしてみてくださいね。

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